icanology
ガリア戦記_BOX

220mm×285mm×85mm、紙、木、スチレンボード、2014

Q-bookシリーズの第2弾も、やっぱりカエサルの『ガリア戦記』。

この作品は、東京の TOKI Art Space (渋谷区神宮前)という現代美術のギャラリーで2014年の8月5日から16日まで開催された『THE LIBRARY 2014』というグループ展に出品するためにつくったもので、A4サイズくらいのオイルステンを塗った木箱の中につくりこんでいます。
内容は、第1弾の『ガリア戦記_若草』と一緒で、タイトルを含め46語で構成しています。前回よりも箱が大きくなったぶん、文字も大きくしていますが、いちばんちがうのは、前回と比較して、単語の高さを決めるウェイトの配分をほぼ逆転させたことです。

つまり、前回は、長い単語ほど上に浮かんでくるという構成でしたが、今回は逆に、長い単語を沈ませ、短い単語を浮きあがらせてみました。
設計としては、いちばん文字数の多い単語(上でいうとAPPELLANTVRなど)がいちばん重いと考えて、これを基盤面から5mm浮上させた位置に置き、10文字の単語は10mm、9文字の単語は15mm ……というふうに、単語が一個増えるごとに5mmずつ浮かせていくと、1文字単語(Aなど)は基盤面から55mm浮上した位置になります。したがって、この1文字単語がぎりぎり収まるように箱の高さを決めました。

箱の蓋をしめると、蓋の表面には、「CAESARIS COMMENTARII DE BELLO GALLICO」(ガリア戦役にかんするカエサルの注釈)というタイトルが金文字でレタリングしてあります。これを、ちょっとスター・ウォーズ風にやってみますと……

ガリア戦記_BOXの蓋

原文は次のとおりです。

CAESARIS COMMENTARII DE BELLO GALLICO I

GALLIA EST OMNIS DIVISA IN PARTES TRES
QVARVM VNAM INCOLVNT BELGAE ALIAM AQVITANI TERTIAM QVI IPSORVM LINGVA CELTAE NOSTRA GALLI APPELLANTVR
HI OMNES LINGVA INSTITVTIS LEGIBVS INTER SE DIFFERVNT
GALLOS AB AQVITANIS GARVMNA FLVMEN A BELGIS MATRONA ET SEQVANA DIVIDIT

英訳と独訳を添えておきます。

Gaius Julius Caesar’s
Commentaries on the Gallic War
Book 1
All Gaul is divided into three parts, one of which the Belgae inhabit, the Aquitani another, those who in their own language are called Celts, in our Gauls, the third.
All these differ from each other in language, customs and laws. The river Garonne separates the Gauls from the Aquitani ; the Marne and the Seine separate them from the Belgae.

Gaius Julius Caesar
Über den Gallischen Krieg
Liber 1
Ganz Gallien ist in drei Teile geteilt, deren einen die Belger bewohnen, den anderen die Aquitaner, den dritten, die in eigener Sprache “Kelten” genannt werden, in unserer Gallier.
Diese alle unterscheiden sich in Sprache, Gewohnheiten und Gesetzen.
Der Fluss Garonne trennt die Gallier von den Aquitanern, die Marne und die Seine trennt die Gallier von den Belger.

全体の印象は、こんな感じです。

ガリア戦記_BOX

ディティールです。

ガリア戦記_BOX