スーパーマーケットの押入から

モナドリーム/単夢譚_21

スーパーマーケットの押入から
出発して
まずバスに乗る
男と二人で

バスは他に
だれも乗客がおらず
運転手もいない

高速道路を超高速で
走りはじめるが
気がつくと
空を飛んでいる
しかも
道路の上空からは
はずれない。

奇妙な都市を
過ぎてゆく
アメリカのビル
ソ連のビル
中国のビル……
ぐにゃりと曲がった
大きな時計のついたビル

バスは
いつのまにか
山岳地帯を走っている

つづらおりの道を
どんどん登っていくと
そのうちに
山頂が雲で隠れてしまった
巨大な山を
登っていることがわかる
目的地は
あの山の頂上だったのだ

しかし
そのころにはもはやバスはなく
私たちは自分の体で
コケのようにズルズルすべる山肌をつかんで
よぢのぼっている

なんだかフトンのような感触だなァと思ううちに
霧をとおしてやっと山頂が見えてきた
しかし
ああ
それは
なんと
押入の天井板だったのだ

黄色原色色票を添付のこと