蒸し暑い夏の宵。
ハダカ電球がこうこうと照らす
狭苦しい(畳敷きの)安アパートの一室の
見苦しく太った中年の男性(髪五分刈り)。
パンツ一丁で
プラスチックの卓上電蓄から
流行歌を最大ボリウムでわめかせ
全身から汗をほとばしらせながら
ビールをぐぐーっと飲んで
むふーと太い息を吐く。
三十年以上も前
私が一人で暮らしていたN市のアパートで垣間見た光景。
映像のように典型的で妙に現実感が薄かったが
ビールを飲む直前の男性の気分は
なぜか良く伝わってきた
あの男性も
今はもう老人だ。
ことによると死んでるかもしれない。
なむあみだぶつ。