真夏の夜の前衛夢

モナドリーム/単夢譚_04

蒸し暑い夏の宵。


ハダカ電球がこうこうと照らす

狭苦しい(畳敷きの)安アパートの一室の

見苦しく太った中年の男性(髪五分刈り)。


パンツ一丁で

プラスチックの卓上電蓄から

流行歌を最大ボリウムでわめかせ

全身から汗をほとばしらせながら

ビールをぐぐーっと飲んで

むふーと太い息を吐く。 



三十年以上も前

私が一人で暮らしていたN市のアパートで垣間見た光景。

映像のように典型的で妙に現実感が薄かったが

ビールを飲む直前の男性の気分は

なぜか良く伝わってきた


あの男性も

今はもう老人だ。

ことによると死んでるかもしれない。


なむあみだぶつ。