切り通しの道

モナドリーム/単夢譚_05

切り通しのみち (名古屋市千種区千種橋)に
一体の地蔵尊あり
近隣の人々みなこれを世話す

我、某日
久しぶりにこの地蔵尊に参る

人あり
某という女性 (中年) 来り
これまた久しぶりに会話す。

最近の幸不幸、諸事話題となるが
やはり不幸の話が多いようだ。

此の地蔵尊
人の悩みをじっと黙してただ聴けり。
地蔵尊の皮膚は石なれど
人の悩める心のその内側に響き透り
何を以て彼聴くとするかは判らねど
ただ聴く。

私は
人の第一身体について考ふ

第一身体を養ふが
今の人生の全てのようだ
人は第一身体に養ひ疲れ
その心を地蔵尊に投げる。
しかし、その心さえも
あらかたは第一身体のものだ
私とは何か……。


切り通しのみちをのぼる
私は、以前から

何度も何度も
この行為を
くりかえしているのだ……。