光の暴走

モナドリーム/単夢譚_38

ある夜
アパートの前の道を
暴走族がしきりに走っている

窓(2階)からのぞいて見ると
彼らは行きつ戻りつ
歩道のガードレールに
なにやら電線様のものを
張り巡らしている

やがて
その作業は終わったらしい
リーダー格の男が
右手をサッとあげる
すると全員
ものすごい勢いで東山方面に
オートバイをぶっ飛ばし始めた
と同時に
ガードレールにしかけられたワイヤーが
爆発的なスパークを発し
それがものすごいスピードで
暴走族と共に
東山方面へ走っていく

たちまち激烈な衝撃波が襲ってきて
道路に面した
2メートル×3メートルの大ガラスが
粉々に砕け散り
部屋の中もメチャメチャになった
隣室も同様
さらに
このアパートのみならず
沿線の建物はすべて
ガラスが割れる等の被害を
被ったようであった

翌日
警官が現場検証に来た
警官に
そのときの状況を説明していると
暗黒の窓の外に
整列した様々な色の光点が
ゆっくりゆっくり降りてきた

空間に刻みこまれた
昨日の衝撃波の記憶が
今頃になって溶出し始めたのだ
美しい……と私は思った