ある夜 アパートの前の道を 暴走族がしきりに走っている 窓(2階)からのぞいて見ると 彼らは行きつ戻りつ 歩道のガードレールに なにやら電線様のものを 張り巡らしている やがて その作業は終わったらしい リーダー格の男が 右手をサッとあげる すると全員 ものすごい勢いで東山方面に オートバイをぶっ飛ばし始めた と同時に ガードレールにしかけられたワイヤーが 爆発的なスパークを発し それがものすごいスピードで 暴走族と共に 東山方面へ走っていく たちまち激烈な衝撃波が襲ってきて 道路に面した 2メートル×3メートルの大ガラスが 粉々に砕け散り 部屋の中もメチャメチャになった 隣室も同様 さらに このアパートのみならず 沿線の建物はすべて ガラスが割れる等の被害を 被ったようであった 翌日 警官が現場検証に来た 警官に そのときの状況を説明していると 暗黒の窓の外に 整列した様々な色の光点が ゆっくりゆっくり降りてきた 空間に刻みこまれた 昨日の衝撃波の記憶が 今頃になって溶出し始めたのだ 美しい……と私は思った