闇を漂う絵

モナドリーム/単夢譚_33

私は
おびただしく絵の積み上げてある部屋にいた

額からはずしてカンバスだけとなった名品が
水平に重ねられ
山のように積み上げられている
そして
その山がすきまなく
いくつもある
そのひとつの山の上に
私はいる

部屋の空間は漆黒で
ただ
絵の山のみが
そこへ意識を集中するたびに
クッキリと見える
この部屋は
このおびただしい絵の山と
そして私とともに
時空間を移動しているのだった

私の父は
宮廷の一方の権力者で
王宮の混乱のときに
所蔵の名品を
破壊・略奪から守るため
すべてをあらかじめ模造品ととりかえ
本物を私の部屋に集めて
時空間移動装置をしかけたのだった

私は
絵とともに時空の旅に乗せられ
数知れぬ名品とともに
闇の中を漂う身となった