ケント紙に鉛筆, 180mm × 180mm, 2002年 / Pencil on paper, 180mm × 180mm, 2002.

この作品のタイトルになっている「あめちゃん」とは、裸体の後にあるパネルに表現されている形象で、実はもっと長く、「あめちゃんのけのついたのでたんしゃにのるのだ」というのが正式名称?です。この意味は、「米軍払い下げの裏地に毛がついたジャンパーを着て単車に乗れば、冬でも寒くない」ということで、昭和30年代に、こういうジャンパーを着て単車で街を走り回って仕事をしていた方が、老年になってから懐古的にもらされた言葉です。私は、当時若者でしたが、この言葉になぜか強い印象を受け、そののち、この言葉をタイトルとする作品をいくつか作りましたが、これもその一つです。昭和30年代は、占領政策の影響で、全国各地に米軍キャンプや「アメリカ村」が残っていたようで、この話をされた方の街、名古屋でも、まだ「米軍払い下げ」の衣服や道具などが普通に出回っていたようでした。軍用品ゆえの品質の高さは、けっこう当時の人々の憧れの対象だったのかもしれません。