輝く闇/コメント 12〜14

*12 易の64の卦は、それぞれが6つの陰陽の組み合わせからなっています。しかし、この6つの陰陽の組み合わせは、さらに3つの陰陽の組み合わせの2セットに分かれています。単位となる3つの陰陽の組み合わせは8通りあり、天、沢、火、雷、風、水、山、地と、すべて自然現象にカテゴライズされています。そして、その3つの陰陽の組み合わせを2つ連続した「卦」には、それぞれ独自の名前が付されていて、例えば上の卦が「地」で下の卦が「天」なら「地天泰(ちてんたい)」、その逆は「天地否(てんちひ)」となります。こういう64通りの卦の中で、上が山、下が水の卦には、「山水蒙(さんすいもう)」という名前がついています。

*13 黄小蛾著『易(えき)入門』。昭和36年12月初版発行。光文社刊。この本は、光文社のカッパブックスシリーズの一冊として刊行され、多くの読者を得て、現在でも新装版が刊行されているようです。私の持っているのは昭和43年4月の発行の版ですが、ここですでに95版になっています。通俗本として書かれてはいますが、なかなかに内容は深く、私が易に興味を抱く最初のきっかけでした(といっても、その後そんなに勉強したわけではありませんが)。10円玉6枚で一人占いができる実用書としてのスタイルの裏に、実は、陰と陽の2極からすべての事象(の変化)が展開するという易の思想の根幹がきちんと通っていて、「簡単に読めて深くわかる」という、あまり類のない、本当はスゴイ……かもしれない本です。

*14 年齢的にいうなら、7才から14才にかけての時期でしょう。ここでモラトリアムを与えてしまうとまずいことになる……というのが、昔の人には経験則でわかっていたのかもしれません。武士は元服、町人は丁稚奉公で、有無をいわさず社会体制の中に組み込む……というフェイルセーフシステム?は、万全に機能していたようです。神智学のシュタイナーさんの言説だったと思いますが、人間の精神と肉体の総合的な「変化」は7才ごとに起こる……ときいた覚えがあります。そこからしても、7才から14才というのは、その人のその後がほぼ決まる大事な期間なのでしょう。今の日本では、大学卒業の22才までがほぼ完全なモラトリアムになっているので、この間に青少年は完璧な「自分という怪物」になってしまうことも可能です。私自身のそのころを振り返ってみても、自分だけで自分自身を律する……というのはけっこう難しいことでした(はっきりいって失敗しました)。かといって、昔のような強制的フェイルセーフシステムは恐怖ですが……。