ケント紙に鉛筆, 180mm × 180mm, 2002年 / Pencil on paper, 180mm × 180mm, 2002.

この作品は、2004年1月7日付けの朝日新聞の朝刊に載っていた記事を、中国の古代文字で描いてみたものです。記事の内容は、次のとおり。
 
電波や光 たまる夢の箱
正方形の穴あき立方体
1カ所にとどめておくことが難しかった電磁波や光を穴あきの立方体に閉じ込める技術を信州大と大阪大、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の共同研究グループが開発した。今後、昼間蓄えた光を夜に放出させる電池ならぬ「光池」や、ためた電磁場を電流として取り出せる電池不要の携帯電話への応用などが考えられるとしている。近く米国の物理学専門誌フィジカル・レビュー・レターズに論文が掲載される。
信州大など共同開発
グループは、信州大理学部の武田三男教授と本田勝也教授、大阪大接合科学研究所の宮本欽生教授ら。
立方体は細部の構造と全体の構造が相似形になっているフラクタル構造を持ち、穴は正方形。グループはこの構造をフォトニックフラクタル(フォトニックは「光子の」の意味)と名付けた。
宮本さんが、使い慣れていた酸化チタン系の微粒子を混ぜたエポキシ樹脂だけで27ミリ角、約9グラムのもの=写真=を作り、様々な周波数の電磁波を当てたところ、UHFよりやや高い周波数8ギガヘルツ(ギガは10億)の電磁波は反射も透過もしなくなり、中心部の空洞にたまり続けた。照射を止めても、1千万分の1秒間は内部に残っていた。
同じ素材、大きさで穴を開けていないものだと、反射も透過もした。(立方体を2.7ミリ角に縮小すると、周波数が10倍の80ギガヘルツの電磁波を閉じ込めるなど、大きさや材質により、たまる電磁波の周波数を変えることもできた。
単純な素材と構造だけで、なぜこのような働きをするのかは未解明だ。)
 
()でくくった最後の数行は、紙面の関係から描けませんでした。これ、ふしぎな発明だと思いますが……もう10年以上もたった今、この技術は、どのような展開を見せているのでしょうか……